果物界において、王様はドリアンと言われています。女王はマンゴスチンです。
好奇心旺盛な私のドリアンとの初対面は、20年ほど前に、珍しくスーパーで半額で売っていたものです。おそらくスーパーの仕入れ担当が、チャレンジ企画で仕入れてはみたものの、日本人の保守的な客層のために売れ残ったものです。
初めての食感とキョーレツな匂いでした。う◯この匂いです。鼻をつまんで食べると美味しいのでは、と考えたのは、伊豆諸島で生産されているくさい食べ物日本代表の「くさや」でした。その昔に流刑の島で、見回りにきた役人どもに食べられないようにと臭くした等の所説はありますが、焼くほどにキョーレツなにおいを発します。味は良いので、鼻をつまんで食べるか、においが気にならない程度に泥酔するか(その場合は味も解らなくなります)の選択でした。
もう一つは、ヨーロッパ代表のブルーチーズです。こちらも慣れれば的な感覚で食べてみましたが、話しの種程度で、今後欲っしてたべることはないでしょう。ドリアンに話を戻して、鼻をつまんで食べても、その食感も苦手でした。でも、王様と呼ばれるほどです。そんなはずはないと、いつか本物の王様に出会うことを期待していました。
インドネシアに行った時に、ドリアンに再会しました。東南アジアでは一般的に流通していて、スーパー等でラップにぐるぐる巻きにされたドリアンがまるごと結構なお値段で売られていました。それをひとりのおじさんが手に取り、熱心に品定めをしていました。ドリアン愛が感じられる微笑ましい光景でした。
ホテルでは、禁止事項として、名指しは避けながらもドリアンのイラストの上ににおいのきついものの持ち込みが禁止されています。意を決して、スーパーでカットドリアンを購入してみました。家に帰って開封してみると、以前と同じ匂いがして、夢見ていた王様のイメージは崩れ去りました。
ある時、登山の帰りに勧められて、道端の山積みドリアン露店に立ち寄りました。すごく甘くフルーティな香りが漂っています。ツレが店主のおじさんに食べごろを選んでもらって、ロックオン、包丁で割って、いざ実食、とてもフルーティで、やっと王様と出会えたと感じました。五感で味わう自分としては、においは約70%で味覚を減じる効果があります。おそらくドリアンは切った瞬間から、なにかが酸化してう〇このにおいを発するものと考えていました。
この記事を書くにあたって調べてみると、シンガポールの科学者が突き止めたにおいの正体は、揮発性硫黄化合物だということです。その匂いで動物を引き寄せて、種子を遠くに拡散してもらう手助けとなる可能性もあるとのことでした。どちらにしても、揮発性ということで、切った瞬間からう〇このにおいを放つみたいです。
におい繫がりで、世界最大の花といわれるラフレシアですが、開花すると虫たちを引き寄せるために、悪臭を放つそうです。こちらも私が生きている間に見て、香りを体感してみたいもののひとつです。
ドリアンのもう一つの不思議は、ドリアン畑を見たことが無いことです。石垣島周辺では、バナナやパパイヤは自生しています。東南アジアでは、バナナ、パパイヤ、マンゴー、ランブータンはどこでも、ドラゴンフルーツやパッションフルーツの畑も見たことがありますが、ドリアンだけはありません。高価であることと独特の匂いから、盗難を避けるためか、隠れて栽培していると考えられます。たぶんね。
初めてとか五感で感じるタイプの人がドリアンを食べるのであれば、絶対に露店がおすすめです。ただし、1個だとボリュームがあるため、四人以上をお勧めします。また、酒との相性が悪いため、ランチを含めたスケジュール調整も必要です。離れていてもドリアンだと分かる、あの甘い香りとともにドリアンを楽しんでみてください。 おしまい
