私的には、意図せずとはいえ、知らずに拉致ってしまった後悔の念から、餌やりから水替えまで丁寧にお世話を続けて参りました。
半年ほどの時を経て、こちらの生活条件にゆるやかに適合してきたと思っていました。当然、元の住所よりは、間取りが狭い(1ルーム、DK無しのオールLです。※不動産情報による)ですが、柔らか発泡スチロールに囲まれた、本土でも比較的暖かい環境です。なにか不満はありますカ?とヤドチャンに問いかけます。
どうしても広い大海原に繰り出しかったのでしょうか?9月のある日にスチロールマンションから脱走を試みていましたよ。ちょうど目撃して、すぐさま写真を撮りました。普段は棒のような2本の目で、周囲を警戒して、臆病とも思えて、意外に俊敏で、ガシャッという音と共に引きこもります。ただし、食事の時は小さなハサミで食事をつまむために、ターゲットを凝視し、周囲の警戒を怠ります。
自然界には存在しない、スチロールを発砲させた、断熱と緩衝性に優れる柔らかい壁に爪を立てて、スケール的には五階建て相当の高さを、重たい借家ごと登ります。周囲を警戒する余裕はありません。
最後の難関の壁越えです。借家を解約すると楽々とクリアできるのでしょうが、その後の生活を考えると、外敵から身を守る宿は必要です。
最後の懸垂からの逆上がりです。徐々に左にズレていきます。角に差しかかる前に落水しました。頭脳的、かつ受け身をとったかは、定かではありませんが、滑落のダメージを最小限として、お家に引きこもりました。
けっこうショックでした。よく角の隅っこで、爪でカリカリしていましたが、まさかこんなにも脱走したいと考えていて、なんとか実行しようとしたヤドチャンの熱意に、かわいそうとも思いました。
パートナーにも巡り合えず、ただ与えられたエサを食べる毎日に嫌気がさしたのでしょうか。
翌日、仕事から帰って、ヤドチャンの様子を見に行くと、宿を借りている宿の外の望まれざる大宿の発砲スチロールの横にヤドチャンのしかばねが・・・脱走には成功したのですが、落ちた時の衝撃か、乾燥したフローリングから身を守るためかの、よくある引きこもり状態でした。意思の疎通がまだできていないため、真相は不明です。
そうだ、もとの場所にヤドチャンを返してあげようと思い立ちました。もとの自然界で生き抜けるかの一抹の不安はあります。ただ、ヤドチャンのためには元の生活が一番です。
今年最後の大型台風30号が接近しています。石垣島は、勢力のピークで、かつ台風の右側に位置します。まさに直撃です。恐らく慣れないヤドチャンは死亡でしょう。台風をかわしてから、戻してあげることにしました。
思い起こせば、半年間のお付き合いでした。その間に、無事脱皮にも成功しました。ヤドチャンのことを忘れないように、引っ越し用の貝殻と脱皮した抜け殻、珊瑚を使ってオブジェを作成しました。なかなかの、今にも動き出しそうなリアルさです。
次回はお別れ編です。それまでの日々を大切に過ごしたいと思います。こうご期待!