今年もお庭に植えた曼珠沙華(まんじゅしゃげ)、お彼岸の頃に咲く彼岸花が、この猛暑の中に寸分の狂いもなく咲きましたー。
この花は変わっています。人として、いや、花として間違っています。通常の植物は、種から懸命に発芽し、やがて大きな茎と葉を広げ、蝶や蜂などが好む目立つ花弁で蜜を提供する代わりに花粉を移動させてもらい受粉を促します。そして種子を結実して、未来へと命をつなぎます。
こいつは植物界の太古から続くルールを無視しています。チューリップとかと同じ、球根類ですが、順序をすっ飛ばして、いきなり茎が生えてきたと思うといきなり開花します。なぜ、という疑問を感じます。受粉するわけでもなく、蝶などに蜜を提供するでもなく、控えめではない鮮やかな紅色と独特の個性を主張するシェイプ、なにそれー的な佇まいです。
曼殊沙華とは、仏教用語で「天上の花」だそうです。ですが、植物毒のアルカロイドを含むため、土葬時代の動物除けとして植えられていたそうです。地方では、死人花や葬式花とか呼ばれて、お寺や墓地などに植えられているそうです。お花は好きなのに残念です。
10年ほど前の春先、職場の偉い人が夏に向けて花壇を整備していました。手伝ってくれと言われて、ゴーヤと曼殊沙華の球根の植え付けを手伝いました。曼殊沙華は9月の彼岸の頃に咲くことを伝えると、「えー」と言ってしょんぼりしていました。そのため、5個ぐらい球根をもらい、庭に植え付けました。すっかり忘れていたころの9月に3つだけ開花しました。毎年徐々に増えて、今は20ほどの茎が生えて開花しました。雨に濡れるとすぐに花がダメになるため、切り花にしたのが写真です。
土の温度を検知して、茎から花へと咲くそうですが、今年の猛暑には気づかなかったみたいです。ドライブをしていたら、家と同じタイミングで開花する道端の花を確認しました。1週間程度で葉がわしゃわしゃと生えてきて、草むらみたいになるのがまた、いとおかし、です。
リビングで寝転んで見上げたら、イケてるアングルのため撮影したのがこちらです。縁起が悪いと嫌がる妻をしり目に、意外と長持ちする切り花を愛でています。開花の時期が非常に短いため、鑑賞はお早めに・・・